卒業式に当たって

 だいぶ遅くなってしまいましたが、卒業式の式辞を載せます。

 令和5年3月1日(水曜日)の当日は、天気も良く、さらに気温も高くなり、気持ちの良い卒業式になりました。

 以下、式辞になります。

 

式辞

 いわきの地を照らす太陽の光は日に日に増し、私たちを包む風もやわらかく、季節の移り変わりが感じられる今日。本日ここに、令和四年度 福島県立いわき総合高等学校 卒業証書授与式 を挙行できますこと、校長として、おおきな喜びと誇らしい気持ちで満たされております。

 本卒業式に、ご臨席賜りました 福島県議会議員 安部泰男様をはじめ、日頃より、本校の教育活動にお力添えをいただいているご来賓の皆様方に、深く感謝申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与されました177名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この世に生を受けたその日から本日まで、一言では言い表せない様々なご苦労の中、今日この日を迎えられましたこと、お喜びもひとしおのことと思います。教職員一同、心よりお祝いを申し上げます。 

 さて、卒業生の皆さんの3年間の高校生活を振り返ると、実に他に例を見ない特別な世代であったことが分かります。高校に入学する直前の3月には、コロナウィルスの世界的な大流行、パンデミックが宣言され、皆さんも入学当初の4月から休校を経験するという、前例の無い形で学校生活が始まりました。2年次には、幾多の困難はありましたが、それを乗り越え本校の文化祭である常盤樹(ときわぎ)祭が行えたこと、また、九州は長崎への修学旅行を成功させたことは、皆さんにとっても大きな自信に繋がったのではないでしょうか。そして、3年次の今年度には、夏の球技大会、秋の校内文化発表会などの行事を通常に近い形で行うことができました。

 コロナ禍であっても、このような活動が行えたのは、本校が表現活動や探究活動など、「自分自身で物事を考え、それを様々な形で表現する。」という体験的な活動を重視しており、皆さんが困難を乗り越えようとする意欲と行動力を備えていたからに他なりません。 

 私は、皆さんに、「よい表現者であること」「挑戦者であること」「自己決断ができること」の重要性を、言葉を変えて繰り返し言い続けてきました。それは、「今を生きる」ということが、この3つの言葉に集約されると考えるからです。

 そして将来、独り立ちし、自立した皆さんが、その時、その時の「今を生きる」とき、「自分はよい表現者になっているか、自分は挑戦できているか、自己決断できているか。」を問いかけ、行動することができれば、どのような困難な時代にあっても、自分の人生を切り開き、新しい時代を作っていけるものと信じます。

  また、今、世界は、人類が迎える第5番目の新しい社会へと移り変わる変革期にあると言われています。皆さんは、産業革命に匹敵する大きく社会が変わる時代を生きているのです。インターネットが生活空間のあらゆる物と人とを繋げるとともに、AI技術が身近な生活にまで活用されていきます。今後、さらに急速に社会は変化し、予測困難な未来が目前にまで来ています。そのような世界にあって、皆さんは1000年に1度とも言われる東日本大震災を経験し、さらに、世界規模のコロナウィルスとの戦いという特別な経験を経ており、人と人の絆の大切さやお互いを思いやる心の大切さを、身にしみて感じていることと思います。

 だからこそ、未来に対して「人との深い繋がりの大切さを心に刻んだ」皆さんならではの振る舞いができるはずであり、乗り越えられると信じます。 

 「未来」は、より素敵なものであってほしい。思いは、皆同じです。卒業生の皆さんに、その未来を託します。

 そう、皆さんの人生は始まったばかりです。与えられる未来ではなく、自分の手で扉を開き前へ進んでください。

 さあ、出発の時です。皆さんを照らす暖かな日差しは進むべき道を照らし、また、爽やかな風が背中を押してくれるでしょう。

  最後になりますが、卒業生の皆さんの幸多い人生を心から祈念するとともに、御来賓・保護者の皆さまには、本校の校歌にも歌われる常盤樹(ときわぎ)の大樹のように、旅立つ者たちを励まし、時には木漏れ日をつくって見守っていただくなど、末永い御支援を賜りますようお願い申し上げまして式辞といたします。

 令和5年3月1日 福島県立いわき総合高等学校長 小林 寿宣