平成26年度 第11回卒業証書授与式 式辞

皆様
福島県立いわき総合高等学校 平成26年度第11回卒業証書授与式は、多くの御来賓の皆様の祝福を受けて、とどこおりなく終えることができました。心より感謝申し上げます。
      平成27年3月1日
                                     

福島県立いわき総合高等学校長 吉田豊彦

             
福島県立いわき総合高等学校  平成26年度 第11回卒業証書授与式 式辞
 ただいま、全国総合学科高等学校長協会賞を受賞した小泉良空さんを代表とする第11期生234名に卒業証書を授与いたしました。この記念の日に、福島県議会議員 安部泰男様、PTA会長 大和田清様、同窓会長 佐久間均様をはじめとして、多数の御来賓の皆様方の御臨席を賜り、卒業生の前途を祝福していただけますことに、心より感謝申し上げます。 
 さて、栄えある卒業証書を手にされた生徒諸君、卒業、おめでとう。そして、第11期生の保護者の皆様に、心からお祝いを申し上げます。3年間、保護者の皆様からいただいた数々の御協力に対し、教職員を代表して感謝の意を表します。
 いわき総合11年目の今年、平成26年度は、「Restart!」の年、東日本大震災の影響で実施できなかった公開文化祭『第4回 常盤樹祭』を開催した年として記憶されることでしょう。常盤樹祭は、実行委員長 木口絵美子さん、生徒会長 鈴木千秋さんを中心に、実行委員会と生徒会執行部がリーダーシップを発揮し、すばらしい時間と空間を創造しました。
 私は、よく、「本校は、学びつつ表現する学校である。」という話をします。本校は、高大連携により協力をいただいている各大学の皆様はもとより、数多くの地域の皆様の協力を得て、生徒諸君が自らを表現する場を多数用意しています。学校のあるべき姿がここにはあるという考えは、一年たっても変わりありません。
 本校のキャリア教育、表現することの集大成である課題研究発表会は、12月13日(土)に開催され、正木里奈さんと佐川美穂さん、矢吹静華さん、吉居成美さん、そして富岡龍明君が、系列を代表して研究成果を発表し大きな拍手を受けました。音楽や演劇を専攻する諸君の卒業公演や美術・英語専攻の諸君の作品制作は元より、資格取得のための努力も活発に行われています。
 生徒会活動においては、髙岡望実行委員長を中心に開催された球技大会の規律と団結と熱気、多数の生徒諸君が参加したナイトハイク・スキー教室等々が思い出されます。生徒会役員諸君は、一年間、校門前に立ち、あいさつ運動を続けました。
 部活動やクラブ活動の活躍も見事です。演劇部は、高等学校演劇コンクールの地区・県・東北の全大会で最優秀賞を受賞し、8月に滋賀県で行われる全国大会に出場します。全国にいるあなた方のサポーターに心から感謝したい。琴部と写真部は、県を代表して第38回全国高等学校総合文化祭に参加しています。吹奏楽部は、甲子園で演奏し、県アンサンブルコンテストにおいて7年ぶりに県大会に進出し、第29回定期演奏会を成功させました。昨年、東北で戦ったハンドボール部やソフトボール部、昨年の秋季県大会においてベスト8入りした野球部、東北大会常連の陸上部、全国高校サッカー県大会において二次予選進出のサッカー部をはじめ、運動部団体競技は全て、今年度県大会進出を果たしています。後に続く第12期生も、陸上部は引き続き東北大会に出場し、ソフトボール部、バスケットボール部男女、ハンドボール部が地区大会を制するなど、先輩に負けない活躍をしてくれています。
 昨年東北大会に進出した家庭クラブは全国フラガールズ選手権に四年連続出場を果たし、JRC・インターアクト部は、国際ロータリー第2530地区インターアクトクラブ年次大会を成功させました。茶道部は二度の合同発表会でお手前を披露し、宝塚と共演した合唱の歌声が校内に響き、絵画やお花が校内に潤いをもたらしています。ボランティア清掃や善行に感謝するはがきや電話もうれしい一年でした。生徒会誌『ときわぎ』、いわき総合新聞、図書館報等の作成、体育館周りの草花・・・ありがとうございます。ボランティア精神に溢れる生徒諸君により、本校はまさしく学校らしい学校であります。
 さて、私は、君たちの先輩である第10期生に、「人を幸せにする知性」という言葉を贈りました。第11期生の君たちには、対の言葉として、「私(わたくし)を幸せにする知性」という言葉を贈りましょう。
 先月、ドイツのヴァイツゼッカー元大統領の言葉が、マスコミでたびたび取り上げられました。
 曰く「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる。」 
 また曰く「重要なのは、鏡に映る自分たちの姿に何を見いだすか、だ。」
 彼は、第二次世界大戦におけるドイツの姿に関連してこれらの言葉を語ったのですが、どのような言葉も、自分に引き寄せて解釈することが大切です。過去に向き合うことはとても難しい。あれは私の責任ではなかったと思いたいことも多い。本校で3年間、目一杯の3年間を過ごした君たちであっても、そういうものは少なからずあるはずです。そういうものすべて、一見無駄だったと思われることも含めてのすべてが、立派に成長した君たちの今を形成しているのです。その自分に真正面から向き合い、周りの人々と共に、自分の意志で変えられる未来に立ち向かいなさい。変えることができるのは、まだ始まっていない未来なのです。そのような姿勢を持ち続けるならば、あなた方は、あなた方自身と周りの人々を共に幸せにする存在になるでしょう。
 私は、昨年、次のようにも語りました。
 「福島県の復興は始まったばかりであり、原子力利用を含めたエネルギーと環境の問題、少子高齢化と人口減、諸外国との関係等々、我が国には課題が山積しています。世界に目を向ければ、より大きな格差による貧困、衛生、食糧、教育の問題、国や民族間の紛争など、問題がたくさんあり、君たち一人一人が、それらの問題の所在を理解し、自らの判断により適切に行動することが、ますます重要になっています。」
 第11期生の皆さんは、今まで、保護者の皆様や学校に守られてここまでやってきました。今から踏み出す世界に比べれば、安全で安心な小さな小さな世界にいたわけです。勇気をもって一歩を踏み出すあなたたちに、福島県や日本、世界の未来をゆだねましょう。
 いわき総合高校も、皆さんとの3年間を振り返り、今の姿に真摯に向き合い、変えられる未来に向けて前進してまいります。皆さんが、プライドを持って本校を語り続けられるように。
 皆さんの学び舎であった仮設校舎も二か月後にはなくなり、仮設校舎があった場所では、後輩の諸君がサッカーボールを追って汗を流していることでしょう。4月からは、新北校舎が後輩たちの学び舎となります。仮設校舎は消えるけれども、ここがあなたたちの成長の場所であったこと、あなたたちの今を作った場所であることには変わりありません。
皆さんの前途を心から祝します。
   平成27年3月1日                                       
福島県立いわき総合高等学校長 吉田豊彦
 
付:  平成25年度 第十回卒業式 式辞(webアップ用).pdf