カテゴリ:第21代 目黒 憲校長
第9期生卒業証書授与式式辞 平成25年3月1日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございました。
去る、3月1日に平成24年度 第9回 福島県立いわき総合高等学校の卒業証書授与式を行いました。その時の式辞を掲載します。
3年次生のみなさん、卒業おめでとう。ただいま、236名のみなさんに卒業証書を授与し、いわき総合高等学校、総合学科の全日制課程の修了を認定しました。
湯ノ岳から吹き下ろす風にも春の兆しを感じる今日このごろ、解体する北校舎には、
皆さんの卒業を祝うかのように満開の桜並木が描かれています。
このよき日に、福島県議会議員 安部泰男様をはじめ、ご来賓の皆様方のご臨席を賜り、平成24年度 第9回 福島県立いわき総合高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、まことに喜ばしい限りであります。
東日本大震災により被害を受けた皆様には、大変なご苦労を乗り越え、この日を迎えられたことと思います。また、お子様の成長を願い、深い愛情を持って、育んでこられましたご家族の皆様におかれましては、感慨もひとしおかと、ご推察申し上げます。これまでの間、本校のために多大なご支援、ご協力をいただきましたこと、全教職員を代表いたしましてここにあらためて感謝申しあげます。ありがとうございました。
そして、これまで、多くの示唆をいただきました関係機関及び地域の皆様方に対し、敬意と感謝の意を表します。
さて、あの東日本大震災からまもなく2年が経とうとしています。本日卒業する第九期生が2年生となる直前でした。当時の学校生活は、南校舎へ一時避難し、その後、体育館を間仕切った教室での授業が7月まで続きました。劣悪な学習環境の中、君たちは、勉強に部活動に精一杯頑張りました。毎日の生活が不安、家族が心配、学習環境も劣悪という逆境の中、君たちは、1年次に設定した将来への目標に向け、迷うことなく勉学に励み、進路の目標を達成することができました。
このような中、君たちは、先輩を支え、後輩をまとめ、校内の活動を推進してくれました。君たちは、体育館、校舎などの使用が制限される中、毎日部活動に励み、東北大会や県大会等に参加・出場し、各種大会で優秀な成績をあげました。そして君たちは、被災に負けない本校生の「姿と力」を示し、さらに新しい本校の伝統を築いてくれました。君たちの築いたこの伝統は、来年度いわき総合高校10周年として結実することとなります。
さて、昨年の3月11日、佐藤知事による「ふくしま宣言」が全世界に向け発信されました。一部読み上げます。
「地震・津波という自然災害に始まり、原子力災害さらには風評被害、人類がこれまで経験したことのない、このような多重の災害が、なぜ起きてしまったのか、私たちはしっかりと考えなければなりません。」「自然の脅威に対する十分な備えができていたか」「科学技術の力を過大に評価していなかったか」「原子力を扱うことの難しさと正面から向き合ってきただろうか・・」、これらの問いの中に、未来への大切な教訓があるはずです。
総合学科で学んだ君たちは、まさにこの宣言の推進者であります。なぜなら、1年次で必履修科目を学び、2年次では専門性の基礎作り、3年次では、発展科目により、専門性を高めました。さらに課題研究を通して、課題を設定し、その解決を図る力を培ってきたからです。「自然災害・科学技術・原子力・社会づくり」をキーワードにしたこれらの「問い」の解決には、「今、ここで何が課題か」、そして「どのように解決するのか」という判断が要求されます。今まさに、選択した科目での主体的な学びと課題研究の成果が実践される時です。現実社会における課題は見えにくいものですが、身近に課題を求め続け、そして課題解決のために行動を起こしてください。多くの人に出会い、自分を変革し、地域の人と交流し、地域社会の担い手となることを期待しています。
結びになりますが、卒業する第9期生の健康と幸多い前途を祈念し、いわき総合高等学校のさらなる発展と飛躍をご参会の皆様にお誓いし、式辞といたします。
平成25年3月1日 福島県立いわき総合高等学校長 目黒 憲
「世界を広げる」 平成24年12月26日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございます。
本校は東日本大震災により、北校舎(生徒教室・調理実習室・介護実習室)が使用不能となり、昨年8月末からグラウンドに設置した仮設校舎等で授業を実施しています。はじめに、今後の校舎改築等について、お知らせします。
7月の被災度区分判定を受け、北校舎は改築と決定しました。何度かの県関係部局との協議を経て、解体工事が平成25年3月から始まり、建設工事は、平成25年7月~平成26年11月上旬というスケジュールが提示されました。現在は、仮設倉庫の設置工事がグラウンド北側で行われています。同時進行で本校舎では、1月から、調理・介護実習室改修工事、具体的には、南校舎会議室を調理実習室に改修、同窓会館に介護設備を設置する工事が始まります。したがいまして4月からは、学習指導要領改訂に伴う新教育課程が本校施設内にて実施できることになります。保護者の皆様には大変ご心配をおかけしました。
さて、今年も総合学科恒例の研究発表会・教育文化講演会が12月15日(土)に開催されました。教育講演会は、アクアマリンふくしまの中野康元(なかのやすし)氏と岩田雅光(いわたまさみつ)氏による「アクアマリンふくしまにおける震災からの復興とグリーンアイプロジェクト(シーラカンスの調査研究)の取り組みについて」でした。講演後、「なぜ、アクアマリンでシーラカンス研究なんだろうか?」について、岩田氏から興味深いお話を伺いました。シーラカンスの研究は、アクアマリンの設置と大いに関係があるとのこと。いわきに設置するので、いわきならではの水族館にしたい、日本に一つしかない水族館にしたいとの想いがあった。そこで、いわき=化石(スズキフタバリュウ・石炭化石館)というイメージから、進化を取り上げる日本で唯一の水族館が誕生したとのこと。開設当初からシーラカンスの研究を続け、今では、世界的レベルの研究となっているのだそうです。さらに、館長の安部義孝さんは、以前務めていた上野動物園で展示に携わった時、シーラカンスについて知りたいと思っていたこと。岩田さんも、以前務めていた読売ランドで、日本で始めてシーラカンスの標本を展示した経験があることも関係しているようです。
続いて、研究発表会、テーマ『世界を広げる』では、4人の発表がありました。3年6組の亀岡菜摘さんのテーマは、『日本の食料自給率』についてで、「TVでフードアクション日本について知り、もっと知りたい」という気持ち。3年1組の高橋宏和さんのテーマは、『Good-byeストレス~呼吸法を用いたリラックス法~』についてで、「身の回りはストレスであふれているなんとかしたい、心のコントロールを知りたい」という気持ち。3年5組の小野夏子さんのテーマは、『陸上競技における試合で勝つためのトレーニング』についてで、「中高6年間取り組んでいる部活動の成果が出ない、なんとかしたい」という気持ち。3年4組の廣瀬玲菜さんのテーマは、『個展を開くためのイラスト制作』についてで、「イラスト制作していて、色彩について知りたい、追求したい」という気持ち。各人の「知りたい」という想いや課題意識が1年間の研究を支え、見事なプレゼンテーションとなりました。奇しくも、シーラカンスの調査研究に携わっている、安部館長と岩田さんが、シーラカンスのことを「知りたい。知りたいとずーっと思っていた。」ことを知り、本校の課題研究に取り組んだ生徒が世界的レベルの研究に進んでいくことを期待する一日でした。
校長 目黒 憲
仮設校舎での1年 平成24年7月27日
本校ホームページにアクセスいただいきましてありがとうございます。
3.11東日本大震災の影響で、昨年は8月に人事異動があり、また、8月24日に校庭に仮設校舎が設置され、まもなく1年となります。被災あるいは原発事故で、いまだに避難を余儀なくされている方々には、心よりお見舞い申しあげます。
7月20日の終業集会では、「1年前のことを覚えていますか」と生徒に問いかけました。体育館を間仕切りにした教室で生活していたこと、学校行事や部活動が計画通りに実施できなかったことなどを思い出してもらいました。現在は、仮設校舎とはいえエアコンが設置された教室で快適に授業に取り組んでいます。
さて、新年度になり4ヶ月が経ちました。この間の生徒の活躍や課題について振り返ってみます。
各種大会では、高校体育大会・総合体育大会・野球選手権大会そして各コンクールの地区予選会など、生徒たちは日頃の練習の成果を発揮してくれました。特に、印象に残ったことに、大会前にコートの復旧工事が入ったテニス部、大会直前にインフルエンザが流行したバスケットボール部、5月20日に「創造的復興教育フォーラム」(文科省委託事業)の一環として文部科学省の講堂で、震災と原発事故をテーマにした創作劇「ファイナルファンタジーフォー3.11」を公演した演劇部のことがあげられます。毎日の練習とは条件などが変わったことから、それぞれに練習計画や練習方法を工夫し、できることに精一杯取り組み、よく頑張りました。
年次ごとに振り返ってみます。
1年次では、遠距離通学生も多い中、登下校の時間にあわせた生活習慣が確立しました。また、新しいクラスメイトとの関係づくりも、概ね確立したようです。5月~7月のコミュニケーションワークショップにより、ゲームの課題をクラス全員で共有し、相互に理解を深めつつ、わかり合うことができたようです。講師の先生からも各クラスとも成長があったとの評価をいただきました。一大イベントは、科目選択です。「自己理解」と「進路」について、とことん追求しましたした。上級生の授業見学を行い、シラバスを研究し、科目選択をしました。相当悩んだことだと思います。悩んで悩んで自ら決定したその過程は、これからの学習や生活に大きく影響してきます。「自分で決めたことは自分で責任をとる。」という本校生の基本姿勢が身に付きました。今後は、進路希望をより明確にするために、「上級学校理解」と「職業理解」に取り組むこととになります。
2年次は、1年前、入学直後から年次6クラスが揃わない状態で7月まで過ごしました。そのような経験をしながら現在まで長欠者を一人もださずにこの7月を迎えました。これもクラスの団結・年次の団結があったからだと思います。特に、昨年内町小学校で生活していた3組が球技大会で全校総合3位になったことは、大変喜ばしいことです。また、2年次の大きな成果は、進路目標を明確にした生徒が多く出てきたこと、さらに校内での学習に取り組む積極的な姿勢が見られてきたことです。受験を制するコツは、クラスや年次で学習に取り組むことだといわれています。さらに多くの生徒が団体戦に加わることを期待しています。部活動では、3年次生の引退後、2年次生がリーダーとなって活動しています。1年次生に対し先輩として、技術指導はもとより総合学科での学びや様々な悩みの相談にのっています。本校の歴史は、3年次生から2年次生そして1年次生へ確実に繋がっています。
3年次は、まさに求人活動のまっただ中です。求人票が公開され、希望職種・会社の検討と会社見学、保護者をまじえ三者面談を行い、いよいよ就職活動がスタートしました。顔つきが変わり、生活が変わり、それぞれの目標に向かい就職活動が充実してきました。また、過日、ある専門学校のAO入試の手続きの書類が回ってきました。大学等の試験もスタートしたことを実感しました。進学の団体戦が始まり、互いに刺激し合い学んでいます。「3年間の学びの成果」と「やりたい仕事や勉強」を確認し、具体的に準備に入ったようです。保護者もみなさまからの応援もよろしくお願いします。
それぞれの年次で、夏季休業前までの課題を概ね克服していることが確認でき、安心しました。夏季休業後に、生徒全員が元気に登校することを願っています。
校長 目黒 憲
校是「個性 自律 創造」 平成24年4月13日
本校ホームページにアクセスいただきありがとうございます。
4月10日に平成24年度入学式を挙行し、新たに11期生240名を迎えました。本校は、来年度が10周年となる若い学校であります。しかし、その歴史は大正三年開校の「内郷村立農業補習学校」までさかのぼります。昭和二十三年の学校改革により、前身の「福島県立内郷高等学校」となり、平成十六年の校名変更まで、内郷高校56年の歴史と伝統を引き継いでいる学校であります。
本校の特色と生徒が本校でやるべき事は、本校の校是に示してありますので紹介します。
それは、「個性 自律 創造」です。「個性」とは、自己理解と自分像づくりのことです。本校では、6つの系列を設け、100を超える選択科目の中から、一人ひとりの興味・関心や進路の目標に応じて自分で科目を選択することができます。つまり、生徒は、自分自身を理解し、理想の自分像や目標を作り、その目標達成のために科目を選び、責任をもって学習を継続することにより個性を磨いていくことになります。
次に「自律」ですが、自分で決めたことに責任を持ち、その達成のために、規律やルールを決め、計画を立て、自らを規制し行動していくということです。
最後に「創造」です。理想の自分像や目標は無限です。生徒は、なりたい自分のイメージから人生の目標を設定し、総合学科ならではの「学び」を最大限に生かし、力を蓄えていきます。そして、将来、誰もやらなかったことに挑戦したり、価値ある新しい物を作り出していくという期待が込められた言葉です。まさに、これからの福島の復興や未来創造の担い手となることを願った言葉です。
4月9日の始業式では、校是「個性 自律 創造」について話しをし、新年度のスタートを切りました。10日の入学式でも同様に式辞の骨子とし、新入生に本校での生活の決意を促しました。年度末の人事異動で定年退職者1名、転出者9名を送り出しましたが、4月2日には、新たに9名の教職員を迎えました。その際、学校経営・運営ビジョンに「『総合学科の特色を生かした教育の推進』、開校10周年を節目に総合学科の更なる充実を図り、生徒の個性を尊重した教育活動を教職員が一致協力して展開します。」と明示し、今年度の教育活動の取り組みを確認したところです。
残念なことに被災が大きい北校舎は、建て替えの可能性が高く、仮設校舎での生活が今しばらく継続することになりそうです。本校を含め福島県は、復興が緒に就ついたばかりです。これからの復興の道のりを歩んでいくためには、学校・家庭・地域が一体となった教育活動を実践していかなければなりません。関係各位の力強いご支援を切に願うものであります。
平成24年4月13日 いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
「ふくしま宣言の推進者としての学び」 平成24年3月19日
「ふくしま宣言の推進者としての学び」
本校ホームページにアクセスいただきありがとうございました。
平成23年度の終業式を迎えました。今年度は、被災地・被災校である私たちにとって、人生のなかでも忘れることのできないつらい・きびしい1年として記憶に残ることと思います。東日本大震災は、地域や私たちの生活を根こそぎ奪い、多くの被害をもたらしました。本校生も家屋が全壊または半壊した生徒が41名、転出した生徒が16名・転入した生徒が22名います。そのような中、亡くなった生徒や保護者がいなかったことだけが幸いでした。震災・津波に加え原発事故も発生し、現在も避難・移住生活をされている人が多くいます。あらためてお見舞い申し上げます。
震災から1年が経ち、3月11日に政府主催復興追悼式では、野田首相が原発事故に触れ「福島を必ずや再生させる」と誓いました。
また、本県では福島市で「3・11ふくしま復興の誓い2012」が開催され、佐藤知事により、「ふくしま宣言」が全世界に向け発表されました。一部抜粋して掲載します。
「地震・津波という自然災害に始まり、原子力災害さらには風評被害、人類がこれまで経験したことのない、このような多重災害が、なぜ起きてしまったのか、私たちはしっかりと考えなければなりません。
「自然の脅威に対する十分な備えができていたか。」「科学技術の力を課題に評価していなかったか。」「原子力を扱うことの難しさと正面から向き合ってきただろうか。」これらの問いの中に、未来への大切な教訓があるはずです。
私たちは、科学技術の力を過信することなく、自然の持つ力の大きさをもう一度しっかりと心に刻み、全ての人が安心して暮らせる社会づくりを進めていきます。
そして、二度とこのようなことが起きないよう、県内の原子力発電所を全て廃炉とするよう求めながら、再生可能エネルギーを推進し、原子力に頼らずに、発展し続けていくことができる社会を目指します。
このように佐藤知事が宣言しましたが、推進の主体者は、「私たち」となっています。知事が宣言し、つまり県の行政が中心となり進める。しかし、県の行政だけではできない。市町村の行政も民間の力も地域の力も、そして何より、未来を担う若い力、これからの社会を創っていく若い力、被災者である私たち、なんとかしたいと切実に願う当事者である被災地の若い力が必要であると訴えているのだと感じました。
現在の本校生一人ひとりの力は小さく・弱いかもしれない。しかし、社会を変えていく大きな力を秘めている。高校時代にできることをしっかりやり、これからのふくしまの復興や未来の社会を創造しなければなりません。そこで、本校生が今やらなければならないことは、何か、考えてみました。
それは、本校総合学科ならではの『学び』を最大限に生かし、力を蓄えることです。
新2年次生では、総合選択科目の基礎科目による専門性の基礎作りをしっかりと行い。新3年次生では、総合選択科目の発展科目により、専門性を高めることです。さらに、課題研究を通して、総合学科ならではの「学び」を追求しなければなりません。それぞれの興味・関心により、課題を設定し研究に着手することになりますが、その際に、「ふくしま宣言」にもあったように、『自然・科学技術・原子力・社会づくり』をキーワードに研究を進めることを期待するものです。そして「ふくしま宣言」の推進者となることを願うものです。ふくしまの復興、未来社会の創造に貢献できる力を蓄え、社会に出したいと願っています。そのために学校では、必要な「課題設定力」と「課題解決力」を身に着けることができる研究や学習を進めていきます。「全ての人が安心して暮らせる社会」「発展し続けていくことのできる社会」づくりの中心となることができるよう、上級年次での「総合学科ならではの『学び』」を計画し、新年度の準備をしているところです。
平成24年3月19日 いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
第8期生卒業証書授与式式辞 平成24年3月1日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございました。
さる、3月1日に平成23年度 第8回 福島県立いわき総合高等学校の卒業証書授与式を行いました。その時の式辞を掲載します。
本日ここに、福島県議会議員 安部泰男様をはじめとして、ご来賓の皆様方のご臨席を賜り、平成23三年度 第8回 福島県立いわき総合高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、まことに喜ばしい限りであります。
まず、この度の東日本大震災により被害を受けた皆様に心よりお見舞い申しあげます。また、本校教育活動へのご支援ご協力に対しまして厚く御礼申し上げます
ただいま栄えある卒業証書を手にされた生徒諸君、卒業、おめでとうございます。
また、お子様の成長を願い、深い愛情を持って、育んでこられましたご家族の皆様におかれましては、感慨もひとしおかと、ご推察申し上げます。これまでの間、本校のために多大なご支援、ご協力を賜りましたこと、全教職員に代わりましてここにあらためて感謝申しあげます。ありがとうございました。
そして、これまで、多くの示唆をいただきました関係機関及び地域の皆様方に対し、敬意と感謝の意を表します。ありがとうございました。
さて、本校は、昨年4月11日の余震で被災しました。本日卒業する第8期生が新年度を迎えたばかりの時でした。4月下旬から南校舎へ一時避難して授業を行い、その後、体育館間仕切り教室で7月まで生活をしました。劣悪な学習環境の中、君たちは、勉強に部活動に精一杯頑張りました。毎日の生活が不安、家族が心配、学習環境も劣悪という逆境の中、学校へ、教室へ、部活動へ、諸君を駆り立てた「何か」確実に成長しました。
このような中、3年生が学校の中心となり、校内の活動を推進してくれました。君たちは、体育館、校舎などの使用が制限される中、毎日部活動に励み、全国大会や東北大会等に参加・出場し、各種大会で優秀な成績をあげました。被災に負けない本校生の「姿と力」を示してくれました。新しい本校の伝統を築いてくれました。本当にありがとう。
今、世界に目を向ければ、地球環境問題、貧困・格差問題、利潤追求に偏った経済問題などさまざまな課題解決に迫られ、君たちには「持続可能な未来の構築」が求められています。
総合学科で学んだ諸君は、「産業社会と人間」「総合的な学習の時間」「課題研究」で培った「課題設定力」と「課題解決力」を活用し、これらの課題を解決していかなければなりません。
諸君は、明日の世界を担う人たちです。私たちが残せた良いものを受け継ぎ、私たちが残してしまった過ちや負の遺産を乗り越えることができます。課題研究や毎日の活動を通して身に着けた「主体的な学び」を実践し、常に「疑問と驚き」の視点を持ち、これからも「知ること」に貪欲になってください。
環境と社会と経済の問題は、つながりとかかわりがあります。そして世界的なひろがりと地方的な深まりがあります。今日・明日に答えは見つからないでしょう。就職する人、進学する人、進路は様々ですが、身近に課題を求め続け、探し続けてください。そして課題解決のために行動を起こしてください。身近な活動に参加してください。多くの人に出会い、自分を変革してください。地域の人と交流し、地域社会の担い手となってください。「持続可能な未来の構築」は君たちの双肩にかかっているのだから・・・。
結びになりますが、卒業する第8期生の健康と幸多い前途を祈念し、いわき総合高等学校のさらなる発展と飛躍をご参会の皆様にお誓いし、式辞といたします。
平成24年3月1日 福島県立いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
学びは「疑問と驚き」から 平成23年12月26日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございます。
いろいろなことがあった平成23年。まもなく今年も終わろうとしています。先日(12月16日)、野田首相の原発事故の第二ステップ収束宣言が報じられましたが、本校は被災地・被災校として、大変な9ヶ月間でした。7月までは体育館の間仕切り教室での授業、そして8月からは仮設プレハブ校舎での授業と目まぐるしく学習環境が変わりました。そのような中、生徒はよく頑張りました。
さて、12月17日(土)には、総合学科としての年間のまとめである研究発表会を開催しました。1・2年次生の発表、そして3年次生4人の課題研究発表から、この1年間の取り組みの成果が、十分に伝わってきました。また、全体発表にはならなかった他の課題研究等も年次全体でしっかり取り組めたという報告を受けています。
3年次の発表ですが、「妖怪伝説~人魚の謎から」(日本の民話に人魚の話があること)、「水中から陸上へ(骨の形成)」(進化の過程のヒントをオタマジャクシからカエルへの生体形成に着目したこと)、「新型うつ病の考察」(新型うつ病がゆとり教育の関係あるのではと疑問を持ったこと)、「マイクロソフトの歴史」(日常よく目にするマイクロソフトって何!と疑問を持ったこと)と、それぞれに質の高い学び・研究ができたと感心しました。日頃の「疑問と驚き」が、年間を通した学びに発展し、さらに研究の成果としてまとめ上げ、全校生の前で発表できる内容までに磨かれました。
社会に出て、何をやるにも、そのときの「今、ここで何が課題か」、そして「どのように解決するか」という判断が要求される場面に遭遇します。つまり「課題設定力」と「課題解決力」が必要となるのです。1年次の「産業社会と人間」、2年次の「総合的な学習の時間、プレ課題研究」、そして3年次の「課題研究」で培った学びの姿勢が、間違いなく将来の人生に生きてくると私は確信しています。
生徒は、明日の世界を担う人たちです。私たち年上の者が、この世を去った後も、生徒は生き続けて、私たちが残せたよいものを受け継ぎ、私たちが残してしまった過ちや負の遺産を乗り越えてくれることを願っています。そのためにも高校時代には、少しでもいいからいろいろなことに興味を抱き、「疑問と驚き」の視点を持ち、「知ること」にどん欲になってほしい。課題研究や毎日の活動を通して、主体的な学びを身につけることを期待しています。
夏休み明けの部活動等団体の成果をまとめてみました。9月、いわき地区新人ソフトボール大会第一位、全日本吹奏楽コンクール東北大会銀賞。10月、いわき地区新人ハンドボール大会男子第一位、県高校駅伝競走大会男子第3位、女子第3位、県家庭クラブ研究発表会学校家庭クラブの部優秀賞、いわき地区演劇コンクール最優秀賞。11月、東北高校駅伝競走大会、男子第7位、女子第9位、県演劇コンクール最優秀賞。12月、東北高校演劇発表会、優秀賞第一席。このように後期もいわき総合高校生の「姿と力」示すことができました。
これもひとえに保護者、関係者の皆様の御支援があったからと心より感謝しております。
演劇部は、12月17日の東北高校演劇発表会で優秀賞第一席(2位)の成績でした。惜しくも全国大会への参加はなりませんでしたが、「原発事故をファンタジーにした公演」が評判となり、10月に神戸公演、12月21日~23日に東京公演、3月2日~4日に福岡公演が実現しました。国民の想い、福島県民の想い、被災地の想いを多くの方々に伝えています。
震災直後には、緊急時支援物資を多くの方から御支援をいただきました。ありがとうございました。さらに、8月以降は、復興支援物資として全国各地の方々から御支援賜りました。8月には、大阪在住の岡田様から箏17弦一面、11月には亜細亜大学東日本大震災支援委員会様から加湿器31台、合同会社ビーシーアシストAIZU様からパソコン2台とプリンター1台、12月には、酣春会様から三味線2棹と和太鼓1台、日本教育情報機器(株)様からプリンター一式を支援品として寄贈いただきました。この場をお借りしまして御礼を申しあげます。
懸案となっていました調理実習は、いわき翠の杜高校実習室をお借りして実施できました。ALTも米国から到着し、1月から授業に参加する予定です。年末を迎え、例年に近い教育活動の見通しが立ち、ほっとしております。
今後は、平成24年度入学者選抜のⅠ期選抜が開始となります。1月19日~24日まで、出願書類の受付となっております。例年どおり、多くの中学生が出願されますよう心より期待しております。
平成23年12月26日 福島県立いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
被災に負けない校内文化発表会や各種活動 平成23年11月1日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございます。はじめに、過日開催されました校内文化発表会の報告をいたします。
本校は3月の本震に加え、4月11日・12日の余震による校舎の被災が著しく、通常の教育活動の実施が課題となる中、今年度の前期のスクールイベントは、変更を余儀なくされました。6月30日・7月1日の球技大会は、延期。8月1日の恒例のナイトハイクは、8月2日の募金ボランティアに変更。10月7日(金)の遠足は、校内球技大会(1日開催)に変更となりました。特に今年は、3年に一度の文化祭の開催の年度でしたが、10月23日(日)の公開文化祭は中止となり、21日(金)の校内文化発表会のみとなりました。
本校の校内文化発表会は、生徒が自ら課題・テーマを設定し、計画を立てて実行する力の育成を図ることを目的としている学校行事です。まさに総合学科の理念の具現化であります。生徒会役員は、校内文化発表会の開催に向け、企画の練り直しを行い準備に取り組みました。発表予定の文化部・団体は、練習場所や練習時間を制限され、節目の県高等学校文化連盟主催の各種大会の開催も危ぶまれた中、練習・稽古に励んできました。そして、内郷高校時代からの伝統を引き継ぐ部活動、いわき総合高校の特色を色濃くする部活動や系列代表(総合学校の特色の一つ)など、そして一般生徒の有志の計10団体のステージ発表と7つの部・団体の展示発表となりました。発表時の様子は、HPに掲載中ですのでご覧ください。
そのような中で特筆できることは、各部・団体は、東日本大震災に向き合い学校の内外を問わず、自分たちができることをやろうと決意し、実践したことです。
演劇部は、7月9日・10日に開催したのいわき地区高等学校演技部発表会で「ファイナルファンタジー2011」という演目を掲げ、原発事故で中止寸前になった文化祭を復活させるための冒険ファンタジーを上演し、震災・原発災害に対する怒りや傷みへの祈り、どうにもならない今をどうにもならないままぶつけることで作品を創作しました。これが大きな反響を呼び、10月8日・9日に神戸公演、12月21日~23日に東京公演が実現しました。
また、家庭クラブでは、「Eternal love ~復旧から復興にむかって~」をテーマに、いわき市の現状を把握し、避難所での健康体操の普及とフラダンス(フラガール甲子園優秀賞受賞)による激励を行い、仮設住宅が設置されると防災座布団を制作し届け、ストレス解消ジンジャーティを配付するなど、普及活動を前後期に分け、それぞれの時期に必要とされる支援活動に当たりました。この活動が話題となり、12月10日・11日に徳島県で開催される「絆プロジェクト」に参加し、フラダンスを披露することになりました。
合唱部は、高校文化部による避難所慰問活動の一環として、「避難所に元気を届ける」ことをねらいに、7月16日にいわき市平体育館を訪れ、「故郷」「春の小川」など七曲を美しい歌声を届けることができました。
吹奏楽部も8月23日に特別養護老人ホームひまわり荘を訪問し、誕生日をお祝いし、「ふるさと」「真っ赤な太陽」「上を向いて歩こう」「東京ブギブギ」など6曲を披露しました。馴染みの曲が多かったためか、みなさんが口ずさんだり手拍子をとったり、沢山の笑顔がこぼれていた楽しい時間を過ごすことができました。
このように、避難所や福祉施設等を訪問し、多くの方々を激励することができました。文化的活動が自らの感性を高め創造的な表現力を伸ばすだけでなく、被災者や地域の方々、そして被災の心配をいただいている全国の人々に感動や勇気を与えることができたことを確信しました。東日本大震災よる様々な機会を通して、本校の生徒が、さらに大きく成長していくことを期待し、改めてまして、御支援と御協力をいただいております関係者の皆様に心から感謝申しあげます。
平成23年11月1日 いわき総合高等学校長
校長 目黒 憲
東日本大震災を乗り越えて、前期無事終了 平成23年9月30日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございます。
前期終業式にあたり、前期の総括をいたしました。本校は、東日本大震災により北校舎が被災し、学習環境が大きく変化しました。4月22日の始業式、25日の入学式の後には、管理棟の南校舎特別教室に一時避難して授業を行い、1年次生が27日にいわき市立高坂小と内町小へ移動、2年次生は、5月6日に第二体育館を間仕切りした仮設教室へ、3年次生は、5月13日に第一体育館を間仕切りした仮設教室に移動しました。その後、5月17日に1年次2・4・5・6組も第一体育館仮設教室へ戻り、前期授業がスタートしました。仮設教室は、隣の教室の授業の声が響き、温度・湿度が上がるなど劣悪な学習環境でしたが、そのような中、生徒はよく頑張りました。現在は、8月25日に完成した校庭の仮設プレハブ校舎(エアコン付)で全学年揃って授業を行っています。
今後の北校舎使用の見込みですが、現在地質調査を行っており、調査で問題がなければ設計を行い、24年度に修繕・耐震工事を行う予定となっています。来年度以降の見通しが立ったことで、大変安心しているところです。
さて、このような学習環境の変化が生徒にどのような影響を与えたか、教職員で話し合いました。まず、体調不良を訴える生徒が増え、保健室の利用状況が増えました。特に、8月25日~9月26日の1ヶ月間では、昨年の同時期の1.8倍のべ506人が保健室を利用しています。原因はエアコン使用による風邪の蔓延や生活習慣の乱れなどが考えられます。冬期間の暖房利用時や次年度に向け課題となりました。
2つ目の影響は教育活動に関わることですが、施設・設備が使えなくなり、実験・実習が計画通りに実施できなかったこと。1ヶ月遅れの授業開始により、授業の進度がやや遅れていること。定期考査が1回しかできなかったこと。ALTとの授業が実施できていないことなどがあります。しかし、8月25日から、先生方の様々な工夫と生徒諸君の協力のもと通常の教育活動に近づいてきました。上記の課題は、前期中間評価として教職員で検討したものです。その他にも多くの課題が提示されました。明らかに震災による影響のもの、総合学科としての課題、あるいは通常の教育活動での指導が不徹底な点など散見されました。改善点に対してその具体的な手立てを講じながら後期を迎えることとして、全職員で確認したところです。
このような影響がある中、成果もあがっています。前期の表彰式では、家庭クラブや部活動等53の個人・団体の賞状等を伝達しました。生徒の活躍が目覚ましかったこと大変うれしく思います。特にその活躍は、新聞報道等でも取り上げられ、5月~9月までにのべ16社、のべ12部・団体が地域の方々や県民の皆さんにいわき総合高校生の「姿と力」を示してくれました。また、報道はされませんでしたが、この他にも日頃から熱心に活動に励んでいる生徒が本校にはたくさんいます。これからの活躍に期待しています。
最後に、後期に向け生徒・学校は「何をすべきか。」という点です。
1年次生は、必履修科目を中心に普通科科目充実期です。将来の目標を見据えて、知識を蓄積する時期です。2年次生は、総合選択科目の基礎科目による専門性への基礎づくりの時期です。3年次生は、総合選択科目の発展科目による専門性の追求と就職・進学を意識した実践的学習の時期です。生徒は、自分の夢・目標を再度確認し決意を固め、具体的な行動に移すこと。学校は、生徒各人の夢や目標実現のため、厳しく鍛え温かく導きつつ総合学科としての使命を果たしていくことを目標にして、教育活動に励む所存であります。
平成23年9月30日 福島県立いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
東日本大震災を乗り越えて、H23再びスタート 平成23年8月25日
本校ホームページにアクセスいただきましてありがとうございます。
3月11日の東日本大震災・津波と4月11日の余震により、多くの尊い人命や家屋等の財産が失われ、現在も避難を余儀なくされている状況があることに心を痛めております。改めまして亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げ、被災された方に心からお見舞い申上げます。
本校も北校舎(18教室、介護実習室、被服室、調理実習室)が被災し、使用不能になりました。体育館を仕切った教室やいわき市立内町小学校(一時高坂小学校も借用)を間借りしながら、4月22日に授業を開始し、7月20日まで通常どおりの教育活動ができました。改めまして関係者各位に感謝申し上げます。
8月24日には校庭に南北2棟の仮設教室(24教室)が完成し、8月25日、生徒・職員により机・椅子等を搬入し、新しい学校生活が始まりました。
併せて、震災により4月の定期人事異動が8月となり、8名の教員を迎え、夏休み明けの8月25日に平成23年度が再スタートしました。特に1年次では3名の担任が替わりましたが、全クラス揃っての学校生活をすることができるようになり、まさに再スタートであります。
本校は、平成14年に総合学科を設置し、平成16年に「内郷高等学校」から「いわき総合高等学校」に校名変更したいわき地区唯一の総合学科の高校です。
1年次では、6つの系列「自然科学系列」「人文国際系列」「情報系列」「芸術・表現系列」「スポーツ健康系列」「生活福祉系列」を選択するための、基礎的な科目(必履修科目が中心)を学習します。2年次・3年次では、6つの系列の100を超える選択科目の中から、一人ひとりの進路に応じた科目を選び自分だけの時間割を作ります。
さらに、平成19年度から、東日本国際大学・いわき短期大学の協力を得て、「異文化理解」「保育原理Ⅰ」「社会福祉入門」の科目を設置し、高大連携授業として実施しています。
また、生徒会活動・部活動・学校行事など自らの可能性を追求する特別活動にも力を入れており、運動部12部、文化部9部、同好会4部が活発な活動をしています。○第59回全国高等学校家庭クラブ研究発表大会 ホームプロジェクトの部 文部科学大臣賞他3賞受賞 3年次4組 高田祐希、○全国高等学校体育大会陸上競技大会 1500m第4位 3年次4組 吉田将平、○全国パソコン技能競技大会出場 3年次2組 前川岬・松崎令樹、○福島県吹奏楽コンクール 小編成の部 金賞 吹奏楽部 など、各部・団体が活躍しています。
なお、本校の学校経営・運営の目標等は、別頁の「運営ビジョン」に掲載してあります。今回の東日本大震災では、『生徒の安全と学習をいかに保障するか』を痛感したところです。今後も従来どおり、総合学科の特色を生かした教育活動を推進してまいります。
保護者・学校関係者・地域の方々には、今後とも本校発展のため御支援・御協力をお願い申し上げます。
平成23年8月25日 福島県立いわき総合高等学校
校長 目黒 憲
本校のモバイルサイトへは、下記のQRコードを読み取り、アクセスしてください。
※QRコードが読み取れなかった方は、下記のURLを入力してください。
URL:https://iwakisogo-h.fcs.ed.jp/
本校の公式noteへは、下記のQRコードを読み取り、アクセスしてください。
※QRコードが読み取れなかった方は、下記のURLよりアクセスしてください。
〒973-8404
福島県いわき市内郷内町駒谷3-1
TEL:0246-26-3505
FAX:0246-26-8273
E-Mail:iwakisogo-h@fcs.ed.jp
無断での文章・画像などの複製、転載を禁じます。
copyright©2022 all rights reserved.