校長室より

令和6年度 入学式にあたって

 4月8日(月)、ご来賓の方々や多くの保護者の皆様のご臨席のもと、令和6年度入学式を行いました。
 以下に式辞を掲載いたします。

式   辞 

 令和6年は能登半島地震による衝撃的な年明けとなりました。地震発生から3か月が過ぎましたが、生活の復旧への道のりは険しいものとなっております。

 また、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からは13年が経過しましたが、それ以降も、このいわき市におきましても、数々の自然災害に見舞われてまいりました。とりわけ昨年の台風13号に伴う水害は、この内郷地区にも大きな傷跡を残しました。

 それぞれ、災害によって亡くなられた人々に哀悼の意を捧げるとともに、被害を受けられた方々、以前の生活の状況を取り戻せない方々に対しまして、謹んでお見舞い申し上げます。

 一方、ウクライナやパレスチナにおける戦争など、人間による惨劇が繰り返されております。地球規模のグローバルな社会で起きるさまざまな事柄は、ローカルな地域社会にも、その影響を及ぼしております。

 そのような中ではございますが、桜の開花の便りも届くとともに、年度のスタートの時期を迎えました。世界中を席巻した新型コロナウイルス禍は終息を迎え、5類移行後、初めての入学式となります。本日は、PTA会長 鈴木 玲子 様、同窓会副会長 佐藤 治郎 様、体育文化後援会副会長並びに同窓会副会長 横田 茂夫 様をはじめ、ご来賓の方々、保護者の皆様のご臨席を賜り、令和六年度 福島県立いわき総合高等学校 入学式を挙行できますことは、誠に喜びに堪えません。 

 ただ今、入学を許可いたしました200名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、心より歓迎します。そして、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。改めて心からお祝いを申し上げます。 

 さて、本校は、100年を超える歴史と、前身である内郷高等学校の伝統を引き継ぎ、平成14年の総合学科設置と平成16年にいわき総合高等学校と校名を変更して以来、いわき地区唯一の総合学科の高校として着実な歩みを進め、生徒の多様な個性が光り輝く学校として、県内外において高い評価を得ております。

 そのような教育を展開するうえで、本校には、校是として大切にしている3つの言葉があります。それは、「個性」、「自律」、「創造」です。これから、一つずつ紹介いたします。

 1つ目は「個性」です。本校は、生徒一人一人の個性を互いに尊重する学校です。皆さんも、自分の個性を大切にすると同時に、あなたの隣の仲間や価値観の異なる方々の個性も尊重する生徒であらねばなりません。本校で新しい仲間や先輩、教職員、地域社会の方々など、多くの自分とは異なる他者と出会い、多様性を認め合いながら、互いに切磋琢磨することで、自らの個性を見出してほしいと思います。

 2つ目は「自律」です。自律とは、他からの助けを受けずに、自分の行動を正しく行うことであり、自らを律するという意味です。成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、皆さんもあと約2年で法律上の大人になります。皆さんには、この3年の間に、これからの社会の形成者として、自らを律しながら社会参画できる人間になってほしいと思います。

 3つ目は「創造」です。創造とは、新しいものを生み出すという意味です。現在の地域社会にしても国際的な状況にしても、私たちは、様々な課題に直面しております。本校においても、皆さん一人一人が、自ら課題を設定し、解決に向けた「探究的な学び」を進めていくことになります。これまでにない新しいものを生み出すことは簡単ではありません。そこで必要なのはチャレンジ精神です。チャレンジとは挑戦なのですから、失敗して当たり前です。失敗を恐れずに新たなことに挑戦し、今までの考え方からの脱却を図り、新しい自分を、そして新しい伝統を創り上げていってほしいと思います。

 これら3つの言葉を形として表現した本校の校章は、いわき総合高校、第一期生が考案しました。いわき総合の頭文字である、ひらがなの「い」に、太陽の光が太平洋の波に反射して、輝き躍動するイメージを表しています。皆さんが、「個性」、「自律」、「創造」を体現し、校章のとおり、一人一人がキラキラと輝き躍動していくことを強く願っています。

 結びにあたり、PTA、体育文化後援会、同窓会、そして地域の皆様の、本校へのご支援に深く感謝申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援とご協力をいただけますよう、改めてお願い申し上げ、式辞といたします。 

 令和6年4月8日 福島県立いわき総合高等学校長 太田 隆明