校長室より

学びは「疑問と驚き」から 平成23年12月26日

学びは「疑問と驚き」か

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 いろいろなことがあった平成23年。まもなく今年も終わろうとしています。先日(12月16日)、野田首相の原発事故の第二ステップ収束宣言が報じられましたが、本校は被災地・被災校として、大変な9ヶ月間でした。7月までは体育館の間仕切り教室での授業、そして8月からは仮設プレハブ校舎での授業と目まぐるしく学習環境が変わりました。そのような中、生徒はよく頑張りました。
 さて、12月17日(土)には、総合学科としての年間のまとめである研究発表会を開催しました。1・2年次生の発表、そして3年次生4人の課題研究発表から、この1年間の取り組みの成果が、十分に伝わってきました。また、全体発表にはならなかった他の課題研究等も年次全体でしっかり取り組めたという報告を受けています。
 3年次の発表ですが、「妖怪伝説~人魚の謎から」(日本の民話に人魚の話があること)、「水中から陸上へ(骨の形成)」(進化の過程のヒントをオタマジャクシからカエルへの生体形成に着目したこと)、「新型うつ病の考察」(新型うつ病がゆとり教育の関係あるのではと疑問を持ったこと)、「マイクロソフトの歴史」(日常よく目にするマイクロソフトって何!と疑問を持ったこと)と、それぞれに質の高い学び・研究ができたと感心しました。日頃の「疑問と驚き」が、年間を通した学びに発展し、さらに研究の成果としてまとめ上げ、全校生の前で発表できる内容までに磨かれました。
 社会に出て、何をやるにも、そのときの「今、ここで何が課題か」、そして「どのように解決するか」という判断が要求される場面に遭遇します。つまり「課題設定力」と「課題解決力」が必要となるのです。1年次の「産業社会と人間」、2年次の「総合的な学習の時間、プレ課題研究」、そして3年次の「課題研究」で培った学びの姿勢が、間違いなく将来の人生に生きてくると私は確信しています。  
  生徒は、明日の世界を担う人たちです。私たち年上の者が、この世を去った後も、生徒は生き続けて、私たちが残せたよいものを受け継ぎ、私たちが残してしまった過ちや負の遺産を乗り越えてくれることを願っています。そのためにも高校時代には、少しでもいいからいろいろなことに興味を抱き、「疑問と驚き」の視点を持ち、「知ること」にどん欲になってほしい。課題研究や毎日の活動を通して、主体的な学びを身につけることを期待しています。
 夏休み明けの部活動等団体の成果をまとめてみました。9月、いわき地区新人ソフトボール大会第一位、全日本吹奏楽コンクール東北大会銀賞。10月、いわき地区新人ハンドボール大会男子第一位、県高校駅伝競走大会男子第3位、女子第3位、県家庭クラブ研究発表会学校家庭クラブの部優秀賞、いわき地区演劇コンクール最優秀賞。11月、東北高校駅伝競走大会、男子第7位、女子第9位、県演劇コンクール最優秀賞。12月、東北高校演劇発表会、優秀賞第一席。このように後期もいわき総合高校生の「姿と力」示すことができました。
これもひとえに保護者、関係者の皆様の御支援があったからと心より感謝しております。
 演劇部は、12月17日の東北高校演劇発表会で優秀賞第一席(2位)の成績でした。惜しくも全国大会への参加はなりませんでしたが、「原発事故をファンタジーにした公演」が評判となり、10月に神戸公演、12月21日~23日に東京公演、3月2日~4日に福岡公演が実現しました。国民の想い、福島県民の想い、被災地の想いを多くの方々に伝えています。
 震災直後には、緊急時支援物資を多くの方から御支援をいただきました。ありがとうございました。さらに、8月以降は、復興支援物資として全国各地の方々から御支援賜りました。8月には、大阪在住の岡田様から箏17弦一面、11月には亜細亜大学東日本大震災支援委員会様から加湿器31台、合同会社ビーシーアシストAIZU様からパソコン2台とプリンター1台、12月には、酣春会様から三味線2棹と和太鼓1台、日本教育情報機器(株)様からプリンター一式を支援品として寄贈いただきました。この場をお借りしまして御礼を申しあげます。
  懸案となっていました調理実習は、いわき翠の杜高校実習室をお借りして実施できました。ALTも米国から到着し、1月から授業に参加する予定です。年末を迎え、例年に近い教育活動の見通しが立ち、ほっとしております。
 今後は、平成24年度入学者選抜のⅠ期選抜が開始となります。1月19日~24日まで、出願書類の受付となっております。例年どおり、多くの中学生が出願されますよう心より期待しております。


平成23年12月26日 福島県立いわき総合高等学校
校長 目黒 憲